路面電車
鹿児島市電
日本最南端の路面電車で、1912年鹿児島電気軌道として開業、1928年に鹿児島市が買収して
市電となりました。最盛期は19.2kmの路線がありましたが、1985年に上町線2.2km、伊敷
線3.9kmが廃止され、現在は13.1kmとなっています。車両は、自局発注(一部は自局製造)
と大都市圏(主に東京と大阪)で廃車となった車両を譲り受けたものが半数ずつという状況であ
ったが、他社からの譲り受けは1970年代の700・800形を最後に行われていない。また、降灰
のために夏季に窓を開放することができない鹿児島という都市の持つ特殊事情のため、災害対策
の一環という位置付けで、車両の冷房化を他の公共交通機関に先駆ける形で急ピッチで推進し、
1986年には国鉄の鹿児島車両所にも先駆けて完全冷房化を完了している。現在、2110形以降
のVVVF車採用や800形車体更新車9500形の登場、超低床車「ユートラム」1000形の導入な
ど積極的な改善施策を展開して、広島や熊本と同様路面電車の復興をPRしている。
※ 460形
1960年、400形の機器流用車として製造され461号、462号の2両が在籍した。400形は500形の登場後、鋼体
化改造されなかった4両のうち413・414号の2両が、1960年当時の最新型車両である600形と同じ車体に更新
され新造扱いとなった 。形式の「460」の由来は、機器を流用した400形の「4」と、車体が同じ600形の「6」
からとられたとされる。1968年にワンマン化改造が行われたが、600形と同じく外観に大きな変化は見られなか
った。冷房化改造は1986年、他の車両に比べかなり後に行われている。台車の保守に手間が掛かるため早期に廃
車の対象となり、1989年、2100形の導入に伴い廃車となった。
※ 500形
現役最古参の車両で1955年から15両が製造され、全長12,500mm、全幅2,300mmの近代的な半鋼製車体を
備える。1981年にはサービスアップのため自局工場で507・512に冷房装置を搭載、鹿児島市電初の冷房車と
なった。その後、新造から50年が近づき老朽化が進んだことから、2002年の1000形ユートラム就役開始以降、
新造車との置き換えにより506・510が、翌2003年には515が、2005年には502・503、2007年には7000
形ユートラムIIの導入が開始されたため509・514、2008年には513がそれぞれ廃車となった。2017年現在、
本形式は、芝刈り電車に転用された512を除く501・504・507の計3両が、旅客営業に使用されている。
※ 600形
1959年に500形に次ぐ新製ボギー車として登場した。車体前面は大阪市電3001形(後の鹿児島市電700形)
を細くしたような中央に大きな窓、両側に小さな窓を配置した構造で、前照灯は方向幕の上に付き、窓下にブレ
ーキランプを装備したスタイルで、このスタイルは後の鹿児島市電の標準になった。1967年から他形式に先駆
けてワンマン化改造がなされ、冷房化は500形に遅れ1984年から開始され1986年には全車が完了した。
その後、2100系列の導入に際し置き換えられ、1994年に606・608・609が、1995年に607が廃車になっ
た。余剰となった車両の一部には、616号が木造電車をモデルとした観光レトロ電車「かごでん」、605号が
「ビール電車」、610号がカラオケ電車「かごしま号」等のイベント用車両に改造されたものもある。その後
2000年にカラオケ電車の610号、2006年、初期の日立製車両の604、2013年、616号の観光レトロ電車
「かごでん」がそれぞれ解体となった。
2013年現在、601 - 603・605(イベント電車)・611 - 615の9両が運用されている。
※ 800形
ワンマン車として即座に使用可能な車両を集めるべく、順次路線廃止を進めていた大阪市交通局から2601形32
両を1966年から1969年にかけて4回に分けて譲受、これを自局仕様に改造の上で800形801 - 832として循環
線から始められたワンマン運行に使用した。以後10年以上にわたって鹿児島市電の主力車として重用された。鹿
児島の市電はどれも似た姿をしているが、この形式は、側窓が小さく屋根が深いスタイルをしていた。1985年の
伊敷線・上町線廃止の際には、余剰となった801 - 806・814- 817・819・821・822・825・827・829・
830の合計17両が廃車され、残存車については1987年10月に番号の改番を実施して801 - 815としている。
その後、1995年から2000年にかけて9500形に台車や電装品といった主要機器を提供して廃車となった。